『福音と社会』への抗議の数々
『福音と社会』所収の谷口氏の書評への抗議がカトリック教会内でさまざまなところからでてきた。公開されたもので私が把握できたものに関して時系列に沿ってこちらで紹介する。なお、私が個人的に把握しているものの、世に出ていない抗議もあることもここで明言する。
『福音と社会』が炎上商法で儲けられては困る。ここで多くの人に手に取られるべきなのは、平良愛香監修『LGBTとキリスト教:20人のストーリー』(日本キリスト教団出版局、2022年)である。ぜひ書店でお買い求めいただきたい。
2022年12月(?)
(中)が出た時点で、日本キリスト教団出版の編集者・市川真紀氏からカトリック社会問題研究所へと直接抗議の電話があったが、発行人は差別ではないとして掲載を続行。
2023年1月8日
私を含む六甲学院卒業生3人の連名で抗議を提出。ちなみに返信には「(下)を読んでから内容にはコメントしてほしい、書評依頼の経緯は確認中」とあった。開き直っただけの(下)を読んで何も納得するものはないし、経緯についての説明はまだない。
https://desiderium-sinus-cordis.amebaownd.com/posts/40536626
1月23日
書評の最終回が出たところでキリスト新聞社が、抗議の流れを記事に。
http://www.kirishin.com/2023/01/23/58300/
2月1日
「LGBTQ みんなのミサ」という都内で主に活動するカトリックの有志団体の世話人・小笠原晋也氏が書評への批判をまとめた。
2月10日
JOC(Jeunesse Ouvriére Chrétienne)というカトリックの団体から声明が出ている。日本でこれを創立した人はカトリック社会問題研究所の創立者でもあるらしい。
2月13日
「カトリック正義と平和協議会」(いわゆる「正平協」)からこの回の記事を憂慮する声明が発表された。この協議会は「カトリック中央協議会」すなわち日本の司教団の一組織である。司教団から出ているものではあるが、「責任ある行動に向かってくださいますよう、お願いいたします」と呼びかけるのみである。
司教団としては「回心の恵み」を祈ることにしているのかもしれないが、司教(団)の権限を持ってすれば実効性のある措置をとることができるはずである。あのような団体が「カトリック」の名前を冠する以上、司教団の「日本カトリック司教協議会 公認団体基準」に従わなければならないのではないか。以下に一部抜粋してみた。
3ー1)公認認団体は、その運営に際して、財政面で独立していることが条件となる。これによって、結社の自由を享受することができ、カトリック信仰上の問題が生じ ない限り、司教協議会がその運営に必要以上に干渉することはない
4ーC.「カトリック」名を冠することの承認
1)公認団体として承認された場合、名称に「カトリック」「日本」「全国」を冠する ことができる。正式名称は司教協議会に届け、変更する場合も届け出る。(名称例:「日本カトリック○○会」「全国カトリック◇◇会」)
2)1教会管区、1教区内での団体は、「日本カトリック」「全国カトリック」の名称 を冠することはできない。該当する教区司教の許可のもと「○○教区カトリック ××会」「××管区カトリック○○会」等の名称を使用し、司教協議会公認の団体との違いを明確にする。
https://www.cbcj.catholic.jp/2000/05/25/2205/
「カトリック」の名を冠する以上、全国の公認団体か特定教区司教の許可を得た団体でなければならない。そうでなければ勝手に名乗っているだけの長上に不従順な非カトリック的精神によって運営された団体と言わざるを得ない。
あのような差別的で排除的な発言に果たして「信仰上の問題」が生じていないと言えるのだろうか。司教(団)はその気になればもっと強い措置を取れるはずである。いつまでも「回心の恵み」に与らなさそうならば、カトリック教会の公式の態度としてあのような差別をする団体を許さないことをはっきりと示すべきではないか。
カトリック信者から寄せられた抗議はこれだけではなく、カトリックの外側からを含めるとさらに多くの抗議や憂慮の声が届けられているだろう。私も今回の抗議を友人と発表したことで、カトリックの知人から声をかけていただくことが何度かあった。目に見える抗議だけではなく、見えないところで届けられた抗議もあるだろう。神なる主のみに知られる嘆き、祈りもあることだろう。このまま終わらせてはならない。
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